告訴状・告発状の作成から警察の捜査,逮捕,起訴,公判,判決の流れ
刑事告訴・刑事告発の流れ
本ページでは、刑事告訴・刑事告発の流れについて解説していきます。
刑事告訴・刑事告発の概要を知るには告訴状・告発状の作成後、犯人が逮捕され、起訴、公判、判決までの一連の流れをつかんでおく事が求められます。
警察への告訴・告発から刑の執行まで
1.刑事告訴状・刑事告発状の作成
告訴・告発は、犯罪事実を明らかにし、当該犯人の処罰を捜査機関に求める手続きであり、犯罪被害者などに権利として認められています。
刑事告訴・刑事告発には事件の重要点、留意点を鑑みた疎明資料の提出を行い、事件の概要と重要となる点をよく理解した上で、積極的に犯罪を示す資料を提出していく必要があります。
2.告訴状・告発状の受理
警察は告訴状・告発状が提出されると受理する義務が生じますが様々な理由を付けて告訴状・告発状を受理しない場合がよく見受けられます。
刑事告訴状・刑事告発状の不受理は、被害を受けた事件の内容、態様、被害状況などによって様々でありこのようにすれば受理されるという方法が一義的にあるものではありません。
3.警察の捜査
事件の発生によって警察は捜査を行います。警察の捜査は刑事告訴状・刑事告発状の提出・被害届の提出、通報、職務質問から警察の疑いが強まると行われるのが一般的です。
捜査によって被疑者を特定し、当該事件の取調べ、そして逮捕を行います。事案によっては被疑者以外の参考人として目撃者・被害者等に事情聴取或いは取調べを行い、捜査を進めていきます。
4.逮捕
逮捕は、(1)現行犯逮捕(目前で犯罪を行っている者を現認した場合は逮捕状なしに即座に逮捕できます。)、(2)通常逮捕(逮捕状による逮捕の場合をいいます。)、(3)緊急逮捕(刑の長期が3年以上の重い罪を犯したと疑われる場合に逮捕状を請求する時間がないときに、まず理由を告げて被疑者を逮捕し、その後直ちに緊急逮捕状発付を求める場合をいいます。)の3つに区分されます。
逮捕した後、警察は48時間以内に身柄を検察官に送致する必要があります。送致しない場合は、釈放手続きをとります。
通常は被疑者特定後、逮捕し、当該被疑者の身柄拘束(逮捕しない事件もあります。)を行います。
被疑者は、逮捕後は警察署の留置場に入れられ、原則逮捕後の取調べは警察署内で警察官により行われます。(例外あり)
5.送検
送致後は検察官・検事の取り調べを受けます。検察官は24時間以内に裁判所に勾留請求する必要があります。(検察官が被疑者の身柄拘束を継続する必要があると判断した場合)勾留請求しない場合は、釈放手続きをとります。
勾留が認められると、起訴或いは不起訴の決定までに10日から20日の身柄拘束が可能となります。(延長は10日以内に限って認められていることから20日までとなります。)
なお、書類送検は被疑者を警察が逮捕しない、或いは逮捕したが後に被疑者を釈放した状態で当該被疑者の身柄拘束をせず検察官へ送致することをいいます。
6.検察官の勾留請求
検察官の勾留請求により、裁判官は事件の内容を認めるか否認するか等勾留質問を被疑者に行い、勾留を行うか或いは請求を却下するか判断します。
裁判官が勾留が必要である判断をした場合は勾留決定を行って10日の身柄拘束を決定することになります。
一方で、裁判官が勾留が不必要である判断をした場合は勾留請求は却下され、被疑者の身柄は釈放することになります。
7.処分の決定
検察官による処分の決定が行われます。処分には、(1)起訴(検察官が公訴提起を行う事をいいます。)、(2)不起訴(検察官が公訴提起を行わない事であり、不起訴は前科ではなく前歴が残ります。)、(3)略式命令(簡易な手続きで罰金額を決定し、支払いを命じて釈放します。)、(4)処分保留(勾留期間内であるがまだ起訴されていない被疑者の嫌疑が十分に認められないために釈放して捜査を行い処分を決定します。)が挙げられます。
8.公判
刑事裁判では、裁判所で裁判を行うことを公判といい、第1回公判は、起訴から約1か月後に行われるのが一般的です。公判は冒頭手続を行い、証拠調べ手続きを経て当事者の最終の意見陳述を行います。
9.判決
裁判官が被告人にどういう刑罰を決めるか判決を言い渡します。一般的な事件であれば起訴からおよそ2、3ヶ月後に判決がでます。判決では、結論とその理由を述べます。結論というのは有罪か無罪か、有罪のときはどのような刑を与えるか、というものです。
有罪判決は、実刑判決と執行猶予判決に大きく区分されます。実刑判決が出ると引き続き身柄拘束が行われますが、執行猶予判決が出ると直後に釈放されることになります。
10.控訴・上告
裁判の確定しない間に、上級裁判所に不服申し立てをすることができます。控訴・上告は間違った裁判を正すこと、法令の解釈の統一性を図るために上級裁判所で再度判断してもらうことができます。
11.刑の執行
被告人が犯人であり、かつ、犯罪に該当し、また検察官が主張する事実が認められると有罪判決が言い渡され、被告人は裁判所が命じた刑の執行を受けます。